バーフレット脱着(リプレース)


最近のギターではあまり見かけられなくなりましたが、20世紀前半に製作されたギターに装着されているフレットは、横から見ると長方形の形をしています。

バーフレットという名前はこの形から来ています(現在のフレットはこれに対してTフレットと呼ばれています)。
今も昔もフレットがすり減ることには変わりなく、バーフレットを脱着してフレット高を調整する必要があります。
今回はすり減ったバーフレットを、埋木によってフレット高確保するリペアをご紹介します。

(この方法の他に、フレット溝を完全に埋木して新たにTフレットを打ち直す方法もあります)


リペア前の状況確認

ネック側からの写真です。1弦側(左)はフレット高が
ほとんどありません。4〜6弦(右側)も0.2mm程度の高さです。


弦の影を見てみると1、2弦のフレット高がほとんどないことが
わかります。

バーフレット取り外し

はんだごてでフレットを暖めます。指版を痛めないように
気をつけて行います。


フレットが暖かくなった頃を見計らって(指で触ると少し厚い程度)、
フレットを徐々に引き上げていきます。ここでも指版に注意を払います。


ゆっくり!ゆっくり!
ここまで来ると神経は指版へ集中します。


反対のアングルからの写真です。指版にはあらかじめオレンジオイル
などを塗って保湿させておくと作業がスムーズに進みます。


抜くコツは、ネックを固定させた上で、真上に徐々に
引き上げることです。

そして、指版には負担を与えないように、熱的にも素早く
行うことが大切です。

フレットが抜けるきるまで、集中力をキープさせます。

抜いたフレットは再利用しますので、ネック側にマークを入れた上で、
フレット立てに待避しておきます。
フレット溝用 埋木と木粉の準備

ローズウッド材をフレット溝(=約1.2mm)に合わせて
薄切りにしていきます。

奥にあるのはアルミの角材で、材料をこのガイドにスライドさせながら
薄切りします。

切り取った埋木片はこんな感じです。


少々多めですが、スライス作業を終わります。


スライスした埋木片はさらに短冊状に切って行きます。
小さくなった埋木片を実際に埋めていきます。

次に、同じくローズウッド材をヤスリでこすって粉を作ります。
埋木接着する際に接着剤を着色するために使用します。
埋木作業 〜 フレット打ち込み

フレット溝のクリーニングを最初に行います。
使っているのは特殊な形状の彫刻刀です。


上で作った短冊状の埋木片を幅1.2mmのフレット溝に
埋めていきます。


埋めている途中です。埋木片の中から同じ高さのものを選びながら
埋木作業を進めていきます。

爪楊枝の先にスポイトからボンドを少量出します。

そして埋木の上から一滴ずつ流し込んでいきます

待避させておいたフレットを埋木の上に置きます。
順番と向きを間違えないように注意します。

指版を傷つけないようにそっと固定します。


木槌で最初は軽く、全体が溝に入ったのを確認して、
最後まで打ち込みます


打ち込むとボンドがあふれ出てきますので、
きれいにふき取っておきます。

全フレットの埋木・打ち込み作業が終了しました。
ここで少し休憩です(笑)。
フレットすりあわせ

フレットすりあわせ作業はバーフレットでもTフレットでも
基本的に同じです。

フレットの山の部分だけを残して、マスキングテープで保護します。

フレット山の高さをそろえます。Tフレットに比べて
高さがばらついていますので、少しずつ時間をかけて行います。

特に谷の部分(背の低いフレット)に注意しながら、
直定規を基準にすりあわせていきます。

フレットサイドも専用の治具でファイリングします。

フレットに丸い山を作ります。こちらも専用のヤスリです。

サンドペーパーでファイリングした後、研磨たわし(#800)で
さらに研磨していきます。

コンパウンドで磨き、光沢を出していきます。

ボディプロテクタとマスキングテープをはがします。
わくわくする瞬間です(笑)

フレットの高さ、形状も問題なくリペアできました。

6弦側の埋木です。ほとんど目立たなく施せています。

1弦側は埋木の量が多く必要でした。
その分、フレットが上に上がっています。